08/17
・日本実質GDP(4-6月)0.4%減、年率マイナス1.6% 3期ぶりマイナス<1>
消費(▲0.8)と輸出(▲4.4)低迷 7-9月は官民プラス予測
⇒ポイント解説あります
08/18
・NY株3日続伸67ドル高(17日) 住宅指数が改善、9年9ヶ月ぶり高水準
08/19
・日本貿易赤字4ヶ月連続、7月2680億円(前年同月比7割減)原油安で輸入額減
・ギリシャ、国内14地方空港を民営化 独企業に運営権売却
08/20
・米連邦公開市場委員会(FMOC7月28、29日)議事要旨公開
利上げ時期巡り積極論と慎重論が交錯 個人消費の勢い、中国減速を懸念
・欧州安定メカニズム(ESM)理事会がギリシャ支援を承認 まず130億ユーロ
・NY株、半年ぶり安値(19日) 原油急落、終値40ドル台
・訪日客1105万人(1-7月)前年同期比47%増 中国・アジアから急増 <2>
中国が2倍増の275万人で首位 2位は42%増の韓国 1月数次ビザ発給要件緩和が背景
・新興国通貨板挟み ベトナムは安値誘導も他国は動けず <3>
米利上げ控え資金流出 人民元切り下げ 振るわぬ自国経済
・韓国企業、先行きに暗雲 造船など業績悪化 海外需要伸び悩みで
08/21
・NY株、10カ月ぶり安値 358ドル安、欧州株下げに連鎖 日経平均2万円割れ
甘利経済財政相「中国発の世界同時株安」麻生財務相「中国が大きな要素」
・ギリシャ、チプラス首相が辞表 反対勢力排除へ総選挙 敗北なら支援に影響
・北朝鮮「準戦時体制」へ 金第一書記、対韓国で指示
・ブラジル大統領「財政再建へ歳出削減」(日経インタビュー)資金流出回避を優先
08/22
・NY株、4年ぶり下げ幅530ドル安(21日) 原油一時40ドル割れ <4>
週間下げ幅1017ドル、リーマンショック以来 円、一時121円台
・米石油掘削設備(リグ)が5週連続増加 大半の鉱区で採算割れの可能性
・メドベージェフロシア首相が択捉島訪問 岸田外相の訪ロ先送り
08/23
・板門店で南北会談 北朝鮮から21日に提案 高官出席、緊張緩和探る
ポイント解説(21) 08/17~08/23
日本GDP、3期ぶりマイナス
1.GDP実質年1.6%減(4-6月)
週末から世界同時株安が発生していますが、これについては来週のポイント解説で。今週はその直前に発表された日本GDPの内容について見ることにします。物価変動の影響を除いた国内総生産(実質GDP)は、つまり経済成長率ですが0.4%減りました。四半期は3カ月ですから年率にして1.6%のマイナスということです。マイナスになるのは昨年7-9月期以来3四半期ぶりです。ちなみに前期(1-3月期)はプラス1.1%でした。反転して今期は消費と輸出が低迷して景気が悪化しているということです。
2.Y=C+I+NX
経済成長率(GDP増加率)を需要面からみると「消費」と「投資」と「純輸出(輸出)-(輸入)」の合計になります。もっとも比重の大きい個人消費が0.8%減りました。4期ぶりのマイナスです。円安の影響で食料品の値上げが続くなかで賃金が伸び悩み財布のひもが締められたことが原因です。軽自動車の増税も響きました。TPPに参加するためにアメリカの要求に応えたのに、残念ですね。設備投資も0.1%減と伸びませんでした。企業収益が過去最高なのに、です。これが最大のポイントのひとつですね。あとで詳しく見ましょう。輸出は4.4%減りました。円安なのに輸出は減っています。これもあとで見ましょう。増えているのは住宅投資(1.9%増)と公共投資(2.6%増)です。あと訪日外国人による消費は6.1%増えました。
3.大企業は儲かっているのに
上場企業の今期経常利益合計は前年同期比で24%増えて9兆円を超えました。これはリーマンショック前の2007年4-6月期の過去最高記録を8年ぶりに塗り替えた金額です。でも国内設備投資は0.1%減って、賃金(雇用者報酬)も0.2%減っています。この大企業収益の大半は海外で稼いだものです。自動車や電気などでは海外売上の比率が6割程度に高まっていると言われています。この稼ぎが国内の投資や賃金に回ってこないのですね。アベノミクスでは大企業の収益が増えてこれが国民生活にしたたり落ちてくると説明していましたが、これをどう説明するのでしょう。国会では議題にもなりません(TPP漂流も知らんぷりです、驚きますね)。
4.円安でも輸出は減少
大幅に縮んだとはいえ日本の最大貿易相手国は中国です。全体のほぼ半分はアジアとの貿易です。ですから中国の景気減退がアジア全体に波及していることが原因だとされています。ただ輸入も減っているので貿易赤字は縮小しています。円安でも輸入が減っているのは国内消費が冷え込んでいることと原油価格が下落しているこどが原因です(原油安は半年間で約3兆円の輸入代金軽減になっています)。
19日に発表された7月の貿易統計からある特徴的な傾向が見えます。7月の輸出金額は約6.6兆円で前年同月より7.6%増えていますが、数量ベースでは0.7%減っているのです。輸出量が減って輸出金額が増えているマジックのタネが円安です。この間の円相場は20%以上の円安・ドル高で、円換算の輸出金額を押し上げているのですね。つまり1ドル=115円から125円に円安になれば、同じ1ドル輸出でも円換算の売上は10円増えるでしょ。
輸出企業は輸出を減らしても売上が増えて、この儲けを海外に投資しているわけです。円安になれば国内景気が良くなるという説明を受けてきましたが、ここでもう一度説明して欲しいものです。とはいえ円安で大企業は設けていますから日本株も高値で推移しています。さて、ここで円高に転じたらどうなるのでしょか。
5.アベノミクスの抜本的見直しを
この夏の国会で集中的に論議すべきはアベノミクスの成否だと、ポイント解説では何度もお願いしています。しかし史上最長の会期延長された国会は安保法制一色です。安保法制は違憲ですし国民の支持を得ていませんし答弁するたびに法律として不備がありすぎることが明らかになっています。安保法制の対案は「廃案」で決まりです。
与党強行採決が可能なこの国会は、二度の衆院選挙と一度の参院選挙において安倍政権の経済政策が支持されて構成されているものです。安保法制やその前提になる集団的自衛権行使容認が公約になったことは一度もありません。安倍政権は自らの経済政策、アベノミクスが国民の期待に応えるものであったのかについて誠意を持って検証するべきなのです。
とか書いているうちに日経平均は暴落し続けています。円も急騰してします。来週のポイント解説は大仕事になりそうです。